犬を新たな家族として迎えようと思ったとき、保護犬を検討される方も多いようです。
ひとくちに保護犬といっても、その生い立ちや事情はさまざま。
ひとむかしまえの事情とは異なり、最近増えているのが「繁殖リタイア犬」の里親募集です。
新たな人生を優しい方と過ごせるように、各地の保護シェルターでは繁殖リタイア犬の里親募集を精力的に行っています。
この記事の目次
現代に多い「繁殖リタイア犬」の里親募集
「繁殖リタイア犬」、もしくは「繁殖引退犬」とは、その名のとおり今まで繁殖活動をお仕事にしてきた犬のこと。
年齢や体力的に繁殖活動を引退しても、犬の寿命からいえばまだまだ若いことが大多数です。
引退後は普通のペットとして一般家庭で暮らすことが望ましく、その里親募集が増加傾向にあるのです。
「繁殖リタイア犬」はブリーダーの手元から卒業した犬
ペットショップで売られている純血種の犬は、ブリーダーが繁殖しています。
そんなブリーダーの元で子犬を生み、育てる仕事をしているのが「繁殖犬」。
繁殖活動をお仕事にしていた犬は、やがて年齢や健康状態を考慮して活動引退することになります。
それが一般的に「繁殖リタイア犬」「繁殖引退犬」と呼ばれる犬たちです。
ブリーダーによってはリタイア犬をそのまま手元に置いて飼うこともありますが、引退時の年齢ではまだまだ元気なことがほとんど。
今まで繁殖活動で頑張ってくれた犬を、一般のご家庭でゆっくり幸せに飼ってもらいたい…と希望されるブリーダーが多いのです。
今後ますます「繁殖リタイア犬」の保護の必要が高まる
実は2022年現在、繁殖リタイア犬の保護や里親探しの必要が高まっており、今後ますますその需要が多くなる見通しです。
2019年6月に動物愛護管理法が改正され、ブリーダーが飼育できる頭数や繁殖可能な年齢に上限が設けられました。
このため、ブリーダーの手元に置いておきたくても、飼育頭数制限などがネックで飼い続けることができなくなります。
2022年まで段階的に施行されていますが、計算上13万頭を超える犬や猫が急に引退を余儀なくされると言われています。
適正頭数で飼養してあげるためにも、積極的に繁殖リタイア犬の保護を行う必要性が出ているのです。
里親さんの元で幸せな生涯を!
繁殖リタイア犬はまだまだ寿命がありますから、ブリーダーは何とか残りの人生ならぬ犬生を幸せに暮らしてほしいと願っています。
特に動物愛護管理法で繁殖可能な年齢が満7歳未満と決められたため、繁殖リタイア犬は7歳前後であることが多いようです。
室内飼いの犬なら7歳はまだまだ元気な年齢ですね。
このため、ブリーダーさんが繁殖リタイア犬の里親募集を行っていることも多いのですが、個人の力では情報が行きわたらないのが現実です。
また、もともとブリーダーさんから譲り受けるのは子犬だと決めている方が多いため、里親探しは難航するようです。
こういった点を踏まえて、今ではさまざまな保護団体や動物愛護団体がブリーダーさんから繁殖リタイア犬を引き受け、里親探しを行うケースが非常に増えています。
犬の保護シェルターには個人で飼えなくなった犬や元ノラ犬もいますが、たくさんの繁殖リタイア犬が新しい里親さんを待っています。
参照
https://www.env.go.jp/press/files/jp/114930.pdf
動物の愛護及び管理に関する法律に係る省令案(飼養管理基準に係るもの)(環境省動物愛護管理室)
https://dcwmgc.jp/news/2020/10/opinion_1/
「改正動物愛護法」の数値規制に関する意見(犬猫適正飼養推進協議会)
https://www.animaldonation.org/blog/interview/government_report/28663/
環境省動物愛護管理室インタビュー2021年6月「改正動物愛護管理法」施行。今回初めて数値規制を導入(公益社団法人 アニマル・ドネーション)
https://wankonowa.com/column/thing/vol-08/
犬を取り巻く現状を知ろう4|動物愛護法改正で注目の「数値規制」とは(株式会社エヴォワークス)
繁殖リタイア犬の特徴
もし繁殖リタイア犬を引き受けようと思ったら、どんな心構えが必要なのでしょうか?
繁殖リタイア犬には特有の特徴があるようです。
繁殖リタイア犬を迎えるためにしっかり認識しておこう
まず大前提として、繁殖リタイア犬は子犬ではありません。
しっかりしたシニアの年齢の犬です。
このため、既に性格や生活習慣が出来上がっており、それを変えることはなかなか難しい状態です。
一般的な子犬を迎え入れても慣れるまではしつけなどが必要ですから、そんなに違いはありませんが、引き受けや飼育にはお金がかかることは覚悟しておきましょう。
繁殖リタイア犬は純血種であることがほとんどです。
室内で飼われており血統が確かなため、見た目がきれいでとても可愛らしいことが多いようです。
その犬種特有の性質やなりやすい病気などは事前にチェック可能です。
慣れるまでは愛情深く見守ろう
繁殖リタイア犬のメリットのひとつとして、今までされてきた体のケアなどは大人しくさせてくれます。
その反面、されたことがないケアは嫌がることがあります。
ブラッシングや歯みがきなどは急に行おうとせず、犬の様子をみながらゆっくり行うようにしましょう。
また、繁殖活動というお仕事をしてきたため、お散歩や人込み、激しい車通りには慣れていないタイプの子もいます。
子犬と違って既に個性が確立された成犬なので、今までの環境との変化に適応するまで時間がかかることがあります。
新しい環境に慣れるまでは注意深く見守りながら、徐々に慣らしていく必要があります。
繁殖リタイア犬がなりやすい病気がある
子犬は体調が急変することなどがありますが、繁殖リタイア犬は激しい体調変化がなく、安心して迎えられる点が魅力です。
そのかわり、どうしても口腔内の状態が悪いことが多いようです。
たくさんの子犬たちに栄養分やカルシウムを分け与えた母犬は、自分の歯が弱くなっていることがあるからです。
歯みがきを嫌う子もいますが、口腔状態は健康面に直結!
治療が必要な場合は獣医さんにお願いして、家庭でも少しずつでもケアに慣れてもらいましょう。
また、避妊・去勢手術をしていないため、子宮や前立腺などの病気になる可能性があります。
年齢や体力面を考慮した上で避妊・去勢手術をしてあげると、こういったリスクはなくなります。
参照
https://petokoto.com/articles/2102#header-2
繁殖引退犬を迎えるために。里親になる方法や注意点などを解説(株式会社PETOKOTO)
https://psnews.jp/dog/p/57037/
引退犬って知っていますか?お迎えするポイントは?(株式会社ペットスマイル)
https://wanchan.jp/osusume/detail/9520
繁殖引退犬の里親になるときの注意点(株式会社ピーネストジャパン)
繁殖リタイア犬の里親になるためには
繁殖リタイア犬を里親として迎えるためにはいろいろと心構えが必要です。
それでも今まで繁殖犬として頑張ってきたワンちゃんに普通のペットとしての人生を与えてあげることは大きな意味があるのです。
全力でサポートしてあげる心の準備をしよう
繁殖リタイア犬は成犬なので、出来上がった個性はさまざま。
それでも最後まで責任を持ってしっかり面倒をみてあげる心の準備をした上で、繁殖リタイア犬を迎え入れましょう。
噛み癖や先住犬との相性など、気になる点は引き受ける前にしっかりチェック。
また、健康状態によっては医療費がかかることも覚悟が必要です。
インターネットでの里親募集を調べてみよう
いざ繁殖リタイア犬を飼うことを決めたら、インターネットで広く里親募集を探してみましょう。
近所のブリーダーさんから直接引き取る方法もありますが、どうしても選択肢が狭まります。
全国規模の犬の保護シェルターには、今すぐにでも里親さんを希望している繁殖リタイア犬が待っています。
情報を探す際は、健康状態の確認や保険などしっかりしている団体だと安心です。
犬の様子を写真だけでなく動画で確認させてくれるところもあります。
特に保護犬の医療ケアを重視しているアニフェアなら、全国の動物病院と連携して、引き渡し時の健康診断を必須条件にしています。
シニアの犬を引き取ることで医療面での不安を感じる方もいますが、アニフェアでは犬の医療保険も完備されており、手厚いサポートを受けられますよ。
健康状態をしっかり把握して、安心してお迎えできる保護団体からの里親募集を探して下さいね。
まとめ
今後ますます需要が増えるだろう、繁殖リタイア犬の里親募集。
今まで頑張ってきた犬たちが残りの寿命を幸せに暮らせるよう、優しい里親さんが望まれています。
純血種で見た目が可愛いから…という理由だけでなく、社会的な意義も大きい繁殖リタイア犬の里親。
たくさんの犬たちが待っているアニフェアで、情報を探してみてはいかがでしょうか。